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更新日:2025年11月19日

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【第7路】高隈山の照葉樹林

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本市の照葉樹林は高隈山に多く自生しています。高隈山は世界各国の植物学者が調査に訪れるほどの貴重な照葉樹の原生林を今も残しています。

本市の植生は、大部分をスギやヒノキ、サワラなどの植林地植生や耕作地植生が占めていますが、高隈山は林野庁から高隈山生物遺伝資源保存林に指定されています。高隈山の植生は、800mまではイスノキ、シイ、タブなどの照葉樹林で、1,000mまではアカガシが多くところどころにモミの大木が目立ちます。頂上近くになると気温が下がるため、ブナの大木が見られるほか、ツブラジイを中心にイチイガシ、イスノキ、マテバシイなど代表的な常緑樹が自生しています。また、下草植物も豊かでタカクマホトトギスをはじめシダ類も多種にわたって見られます。

ブナは日本の温帯を代表する植物ですが、高隈山最高峰の大おおのがらだけ箆柄岳のブナ林はその南限となっています。大箆柄岳のほか
小このがらだけ箆柄岳、御岳、平岳、横岳にもわずかながら分布しています。本来、ブナは高木ですが、ここのブナには成長限界が見られ、さらに種子の発生量が少なく、幼木を見かけることも少ない状況です。また、ミズナラは御岳にだけ見られ、北東又は西南の海抜900mから山頂にか
けて植生しており、ブナとともに南限植生地に育った温帯植物の代表樹種の一つです。南限という不利な環境から高さ8m未満ですが、ブナとは違い、種子放出は豊かで幼木も育っています。

昭和49年に行われた国際植生学会日本大会では、世界各国の植物学者らが高隈山のイス原生林を視察調査し、「世界の貴重な宝」だとして原生林の保護を訴えました。この模様が全国に報道されるなど、「高隈山の照葉樹林」が貴重なものであるということが証明され、その保存については現在住んでいる私たちの使命とも言えるでしょう。

山
高隈山は(6)大箆柄岳(1,237m)を最高峰に1,000m級の7つの峰が連なる。
御岳(1,182m)には登山コースを整備している。