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更新日:2024年5月27日

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手足口病の予防について

手足口病とは?

手足口病は,その名が示すとおり,口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス感染症で,
幼児を中心に夏季に流行が見られる。
1950年代後半に認識されたウイルス性発疹症であり,我が国では1967年頃からその存在が明らかになった。
基本的に予後は良好な疾患である。
しかし,急性髄膜炎の合併が時に見られ,稀であるが急性脳炎を生ずることもある。

疫学

本症は4歳位までの幼児を中心とした疾患であり,2歳以下が半数を占めるが,学童でも流行的発生がみられることがある。
また,学童以上の年齢層の大半は既にこれらのウイルスの感染(不顕性感染も含む)を受けている場合が多いので,
成人での発症はあまり多くない。
感染症発生動向調査によると,国内における手足口病流行のピークは夏季であるが,秋から冬にかけても多少の発生が見られる。

感染経路

主として咽頭から排泄されるウイルスによる飛沫感染でおこるが,便中に排泄されたウイルスによる経口感染,水疱内容物からの
感染などがありうる。便中へのウイルスの排泄は長期間にわたり,症状が消失した患者も2~4週間にわたり感染源になりうる。

臨床症状

3~5日の潜伏期をおいて,口腔粘膜,手掌,足底や足背などの四肢末端に2~3mmの水疱性発疹が出現する。
時に肘,膝,臀部などにも出現することもある。
口腔粘膜では小潰瘍を形成することもある。発熱は3分の1に見られるが軽度であり,38℃以下のことがほとんどである。
通常は3~7日の経過で消退し,水疱が痂皮を形成することはない。
稀には幼児を中心とした髄膜炎,小脳失調症,AFP,脳炎などの中枢神経系合併症を生ずることもある。

治療・予防

特別な治療を要しないことがほとんどである。
発疹にかゆみなどを伴うことは稀であり,抗ヒスタミン剤の塗布を行うことはあるが,副腎皮質ステロイド剤などの必要はない。
口腔内病変に対しては,刺激にならないよう柔かめで薄味の食べ物を勧めるが,
何よりも水分不足にならないようにすることが最も重要である。
薄いお茶類,スポーツ飲料などで水分を少量頻回に与えるよう努める。ときには経静脈的補液も必要となる。
発熱に対しては通常解熱剤なしで経過観察が可能である。抗生剤の投与は意味がない。
しかし,元気がない,頭痛,嘔吐,高熱,2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎,脳炎などへの進展を注意する。
合併症を生じた場合の特異的な治療法は確立されていない。
予防としては,接触予防策および飛沫予防策が重要であり,特に手洗いの励行などは重要である。
患者あるいは回復者に対しても,特に排便後の手洗いを徹底させる。
手足口病の原因ウイルスに対するワクチンはない。

参考文献&リンク

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